雲を見ていたら、ずっと前に図書室で読んだ事がある谷川俊太郎氏の「幸せについて」(2018年初版)という本の一節が思い出されました。
詩集のような、一言エッセイのような短い文章で綴られた「幸せについて」作者が思う事が詰まった107頁の本で、一気に読んでしまった記憶があります。
1頁は、たった1行や7、8行の短文ですが、谷川俊太郎氏らしい瑞々しい感性で溢れていて、誰にも分かる易しい言葉で書かれています。
ここには、私が今まで気づかなかった「幸福について」があって、巷に溢れるどこかで聞いた事のある幸福論とは全く別の視点から書かれています。
最近は「お金」や「節約」の話が多くて疲れてしまいます(確かにとても大切な事ですが)
その「幸福について」の中の1つに雲が出てくる短い文章があって、以前読んだ時は、とても感動したのですが、細かい所が良く思い出せません。
やはり手元に置いて時々開いて読んでみたい。
そう思いネットで購入し、また読んでみるとやはりあの時と同じ気持ちになりました。
本文中5頁目より
自分が不幸だと思っているヒトには言いたくないけど、俺、いま幸せなんだよね。歳とってカラダが重くなって、朝っぱらから昼寝をしたい気分だけど、ココロはなんか余分なものがなくなって、軽くなってる。軽いのは軽薄とは違うよ。快活っていうのが近いかな、青空みたいなココロ、でも少しは雲もある。
そうそう私も全くこの感覚と一緒で、今まで言葉に出来なくてモヤっとしていたこの感じを、才能ある作者によって文章化してもらってスッキリしました。
確かに今幸せなんだけど、雲は絶えず心のどこかにあって、それは日によって大きくなったり小さくなったりして、いつも同じじゃない。
晴れて清々しい日も、良く見るとでも少しは雲もある。
悩みや迷いは常にあるのですが、ココロは余分なものがなくなって、軽くなっている。
これが今の私の考える幸福かもしれません。
若い頃は、雲ひとつない晴天こそが幸福と信じていたのですから。
この本はどこを開いても、作者の鋭い観察眼から、人間らしい弱さや優しさに触れる事ができるのですが、もうひとつ私が好きな一節をあげるとしたら、たった2行の次の文章です。
本文中57頁目より
あのひとが別れ際に振り向いて手を振ってくれた幸せ、どんなにセコくても なんにもないより何かがあったほうがいい。
同じように私が感じる幸せも、日常に溢れるセコくて小さいものの集合体なのです。
谷川俊太郎;詩人、翻訳家、絵本作家、脚本家
代表作でもあるデビュー作は「二十億光年の孤独」
過去も未来も気にならない、、、なる程こうしてみると、老いていくのも悪くないと感じます。
ただ私のような凡人は、まだ詩人の清らかな心境まで至っていないようで、悩み事は尽きません。
* Thank you as always *


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