「ドライブ・マイ・カー」を観て思う
米アカデミー賞の前哨戦となる第79回ゴールデン・グローブ賞(ハリウッド外国人記者協会主催)の各賞が9日(日本時間10日)発表され、濱口竜介監督(43)の「ドライブ・マイ・カー」が非英語映画賞(旧外国語映画賞)を受賞した。
日本映画が同賞を獲得するのは、市川崑監督の「鍵」が外国語映画賞を受賞して以来62年ぶり。
「ドライブ・マイ・カー」は、3月に授賞式が行われるアカデミー賞でも国際長編映画賞部門の日本代表に選ばれており、ノミネートに弾みをつける結果となった(NEWSより抜粋)
監督・脚本 濱口竜介
キャスト 西島秀俊 霧島れいか 三浦透子 岡田将生
内容と感想(ネタバレ含まず)
映画自体は2021年8月に一度公開されましたが、その時は見逃してしまいました。
気になっていたので、先日横浜で上映されていたので観に行ってきました。
3月のアカデミー賞に近づいている作品だけあって、館内の様々な年代の観客層から話題の映画なのだと改めて知りました。
この演出家の男性「家福」と、この男性の車の運転をするドライバーの女性「みさき」のやり取りが話の軸で、映画のタイトルにもなっています。
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家福は妻の秘密を知りつつもその事に触れようとしないまま、時間が過ぎ去って行き、ある日妻は死んでしまいます。
仕事で雇われたドライバーのみさきもまた、人に言えない秘密を抱えていました。
美しい自然の中を、気持ち良く疾走する赤い車。
遠くから見ていると爽快なこのシーンも、車内はそれぞれの理由で傷ついた2人の重苦しい空気が漂っています。
2時間59分の長い上映時間、その中で繰り返される演劇稽古のシーンが私にはちょっと長く感じてしまいました。
でもこの一つ一つの台詞が、意味があるのでカットは出来ないのでしょうね。
それだけとても丁寧に描かれています。
演出家の家福が、演劇指導しているのはロシアのチェーホフによる戯曲「ワーニャ伯父さん」
このワーニャ伯父さんの苦悩が、主人公の苦悩と重なって見え、息苦しくなります。
観客席にいる私は「一体いつになったら、解決するのだろう❓」と多少の苛立ちさえ感じます。
物語は後半になると、家福とドライバーの女性の心が少しずつ近づくのが分かります。
その象徴的なシーン
2人は、車の中で吸っているタバコの手を同時に車外に出します。
このシーンから、2人の気持ちは寄り添うようになってきたように見えました。
映画の原作は村上春樹氏の「女のいない男たち」
短編小説で、死別や離別で奥様や彼女を失った男性達が登場する話です。
この家福もまた死別で妻を失っています。
私は思いました。
主人公は何も悪い事をしていないのに❓
なぜこんなに苦しみを味わうのか❓
不条理過ぎると。
喪失感と後悔の中、嘆き苦しみながら
でも
それでも
「生きていかないといけないのです」
「ワーニャ伯父さん」の舞台でのこの台詞こそが、主人公が最後に出した答えのように思えました。
主人公の妻の秘密に向き合わなかった事から起こってしまった不幸。
でも私達はそれを咎(とが)める事など出来ないのです。
誰だって「本当の事」を知るのは怖いのだから。
はっきりとした結論は出ない映画です。
観る人によって感じる事は様々で、意見も分かれる所でしょう。
つまらないと思う人も中にはいるかもしれません。
この映画は人間関係、それも特に夫婦や親子間で傷ついた事がある人ほど、遠回しのセリフの中に深い意味を感じる事が出来ると思います。
そしてそこに一筋の光を見出せたとしたら、人生の不条理さから救われる内容になっています。
観に行けて良かったです。
最後までお読み頂きありがとうございました。
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